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相谷さんのニコニコ放浪記

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2009-08-15

例の「白いクスリ事件」について

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はじめに(とにかくおわび)

 はじめに謝らなければいけません。とにかく、長い間ここを放置していて本当にすみません!

 とにかく急いで「新曲ランキング」の記事を終わらせたいのですが、今回はそれ以前にここに書かなければならない記事を書くので、そちらを優先することにします。「新曲ランキング」の記事については、できる限り明日にでも。


本題(あるいは今回の事件の経緯について)

 俺が夏休みを取っている間*1Vocaloid界隈で「大変な事」が起きていたらしい。その「大変な事」というのは以下のとおり。

クリプトン 白いクスリ権利者削除 - An Empty Box >> pikayan’s Diary

 要は酒井法子容疑者のヒット曲「碧いうさぎ」のパロディをミクに歌わせた「白いクスリ」*2が、クリプトン社の要請で削除された事に関する騒動が起きている、というわけだ。

 なお、その「白いクスリ」に関しては、次のレイティアさんが書いた記事のほうが詳しい。

みっくみくなレイティアさん 白いクスリの歌詞は二種類ある

 今回クリプトン社の要請で削除されたのは上のMMD版ではないほうなのだが、その1番の歌詞をミクの声で脳内再生した瞬間、「あー、そりゃクリプトンから文句を言われるわ」と思った。

 今回の騒動に関してのクリプトン社の見解については、下の記事のほうが詳しい。

ニコニコ動画における動画削除について – 初音ミク公式ブログ

 これによって弊社は、


・弊社製品が民法上の不法行為および刑法に定める名誉毀損罪を構成するおそれのある行為に用いられ、これがインターネット上で公表されていること。

・上記事実が複数の大手インターネットニュースサイトに配信され、弊社製品をご存知でない方々を含む皆様に、上記事実が広く知られたこと。

・これによって、弊社製品を含む音声合成技術全般、およびこれを利用した創作活動全般に対するイメージが、多様性のある実態と異なるかたちで報道によって広まり、一般に認識され定着するおそれがあること。


等の事情が総合されることによって、弊社の営業上の利益および信用が侵害されるおそれを考慮し、特別に8月11日午後、株式会社ニワンゴ様に当該動画の削除の申立をいたしました。

 つまり、ウチの製品価値に傷をつける動画はどんなものであれ、作品として流すことは絶対に許さないよという事である。

 しかしそれ以前にも「社会風刺」をVocaloidに歌わせている動画はニコニコ動画に存在しているわけで、それらの動画と今回の「白いクスリ」とはどう違うのか、という疑問が視聴者から上がっているのは事実である。


「風刺を伝える声」としてのVocaloid

 さっき書いたように「世間に対する『風刺』をVocaloidに歌わせる」動画そのものは昔から存在していた。

 古くはボクシングの試合で内藤大助を投げ飛ばそうとした亀田三兄弟の次男を笑い飛ばしたり、自分達の存在価値をコケにしたTBSをボロクソにけなしたり、あゆPが嫌韓ネタで注目されたりしていた

 少し前では、政治献金で問題になった民主党の小沢一郎がにんきものになったりポリシーを求められた。あと最近では覚え書きオブジイヤーの中の人がレンを「シンゴー、シンゴー!!」させたりしている。

 個人的にではあるが、この手の「社会の『風刺』をVocaloidに歌わせる行為」ははっきり言って嫌いだ。なんか自分達の主張を「正当化」しようとしている行為がミエミエで、どうしても「笑い」として消化できない*3。(なお、この手の曲が嫌いな理由はもう一つあるのだが、それについては後ほど。)

 今回の「白いクスリ」はさすがに作り手側の「おイタが過ぎた」。たとえその動画が面白くてもクリプトン社に迷惑をかけてはいけないニワンコの責任者(特にひろゆき)に守ってもらえないなら、クリプトン社自ら動かなければならないからだ。

「それじゃあ、今までの『その手の動画』はなんで大丈夫だったんだ?」という疑問もあるだろうが、それに関してはたぶん、クリプトン社が動画の反応を見て「まだ大丈夫」と判断したからではないかと思う。もっともその動画自体見ていないという解釈もありうるかもしれないが

 今回の騒動で「この動画に『削除命令』を下したクリプトンは糞だ」とか、「せっかく動画を見るのを楽しみにしてたのに、クリプトンにその動画の存在を吹き込んだマスゴミなんか死んじまえ」など、2chとかはてブとか自分のブログとかで書く奴は、社会適応能力的な意味で「想像力」が決定的に欠けている

 なぜならその系統の動画を無視すると、「もっと大変な事」が起こる可能性があるからだ。


名誉毀損より恐ろしい「もっと大変な事」


 その「有名人の風刺や皮肉」を残すことで起こりうる「もっと大変な事」は、Vocaloidを使って「第三者」を洗脳する輩が現れる可能性がある、という事である。

 かつてオウム真理教は、別室に隔離した信者の子供に「自主制作のアニメ*4を見せて、その子供達を洗脳させていた。俺が「政治や社会の『皮肉』をVocaloidに歌わせる」行為が嫌いなもう一つの理由は、どうしても「自分達の『正当性』を訴える」その行為が「オウム真理教」を思い出してしまうのだ。

 こうなってくると深刻だ。それこそVocaloidが「○○という団体を潰せ!」だの、「××という奴は邪魔だから殺せ!」というような内容の歌を本当に真に受ける奴が現れるとしたら……。

 「そんな飛躍した妄想を誰が真に受けるか、ボケ!!」と言われそうだが、2chとかはてブとかの「『白いクスリ』を消したクリプトン社を非難する文章」を読んでいるとどうしてもそういう風に思わざるを得ない。

 本来料理を作るための道具である「包丁」で人を刺し殺すのと同じように、Vocaloidも「楽器の一部」である以上、常にそういう危険に晒されている。たとえ「そんなバカな」と思っていてもだ。

 

これから起こりうる可能性


 これから起こりうる可能性についてだが、俺としては2つの事が想像できるのではないかと思われる。両方ともどちらかといえば暗いほうではない予測だと思うのだが。

●これからのクリプトン社とニコニコ動画の関係性について

 

 おそらくクリプトン社は余程の事がない限り、これ以上「有名人の風刺や皮肉」について言及する可能性はないのではないかと思う。ただしその分、「ぼからん」などVocaloid関連のランキング動画の製作者に、この系統の動画がランキングとして載せるべき動画であるかどうか、という判断が委ねられる可能性が高いという事でもある。

 現状『なんでもあり』の「ニコラン」や「日刊」は別として、『大人の事情』による除外*5がある「ぼからん」は、明らかに製作者のしっぽたん氏の負担が大きくなった。まあ削除するなら次の分かその次の分の「ぼからん」で、その削除する経緯と理解を*6「奈帆たん」を通じて説明するだろうと思う*7

●「……Vocaloidの代わりはいくらでもいるもの」

 俺が思うに、これから「有名人の誹謗中傷」はほかの「人工ボカロ」に歌わせる可能性が高くなるのではないかと思う。特に「ゆっくり」は、そのまったりしすぎる声で殺伐とした歌詞でも「笑える冗談」として処理してくれそうだ*8

 あとUTAUVocaloidの代わりになるのではないかと考える。多分UTAUも「有名人の誹謗中傷」については、製作者が頭を悩ませている可能性はあるだろうが、こちらは元々企業が絡んでいないフリーソフトであるため、Vocaloidよりはその規制は緩いと思う。

*1:8月11日から17日まで、ブログやはてブを書くことを意識的に休んでいる。この時期はリフレッシュが必要だ。

*2:あえて動画のリンクは張らない。たぶんニコニコの動画検索で「増殖したやつ」が引っかかるだろうから、それを見たほうが早い。

*3:ただし「アナロ熊のうた」は別だ。この曲も『地デジカ』の「二次創作」を許してくれなかったことに対する「皮肉」なのだが、不覚にも笑ってしまった。「風刺」や「皮肉」は他人を笑わせたほうが勝ちだ。笑えない「風刺」や「皮肉」は「悪口」にしか聞こえない。

*4:この映像がニコニコに残っている事自体びっくりだが。

*5:そういえば「デットボールPの大量動画消去事件」もクリプトン社がデットボールPに向かって、名指しで「てめぇ、ふざけんなこの野郎!!」と胸ぐらを掴んだのがきっかけだった。それが原因で「ぼからん」はただでさえシモネタに厳しかったのを、さらに厳しく設定しなければならなくなった。たぶんクリプトン社の言及がなかったら、今頃「のぼり棒」はセーフだったはず。

*6:多少心の中で「チッ」と軽く舌打ちしながら。

*7:これは「その曲を削除しない」と判断した場合も同様。

*8:もちろん「当事者から訴えられる」覚悟は変わらないが

kenchankenchan2009/08/23 00:39はじめまして。kenchanと申します。

>あとUTAUもVocaloidの代わりになるのではないかと考える。

確かに、UTAUのデフォルト音源に関しては、UTAU作者は「声自体は基本的にシンセサイザの出音と同じで使用に制限はありません。(楽器扱い)」と仰っていますので、デフォルト音源または自分の声で作った音源に関しては楽器として自由に扱う事が出来ると言えるでしょう。
http://utau2008.blog47.fc2.com/blog-entry-327.html

しかし、UTAUを使って他者の著作権、または第三者の名誉を侵害する歌詞を歌わせて、公開した場合に、責任を負うのは不当な歌詞を合成して公開した人であって、UTAU作者は一切責任は取れない事は理解して下さい。(当たり前の事ですが)

また、デフォルト音源以外の、人の声を録音して公開されている音源に付いては、
中の人の人格権を保護する為に、音源使用者は各々定められた使用規約を遵守しなければならない事を良く理解して下さい。(音源によっては宗教・政治・性的・暴力的等の表現に対して、VOCALOIDよりも厳しい制限を設けている場合もあります)

最近、「白いクスリ」問題を取り上げているサイト・ブログ等にて、「VOCALOIDの代わりにUTAUを使えばいい」という論調がちらほら見受けられる事をとても危惧しています。自分は他の方が作成されたUTAU音源を配布・管理させて頂いている立場なので、看過することが出来ませんでした。ご理解の程何卒よろしくお願いいたします。

aitanisanaitanisan2009/08/23 21:22kenchanさん、コメントありがとうございます。

確かに「VOCALOIDの代わりにUTAUを使えばいい」という発言は暴言であったことはお詫びします。
ただこの手の歌詞を公開する「不届き者」の暴走を、『ある程度最小限に』食い止める方法は可能だとも思っています。

例えば「ぼからん」では『大人の事情』に対して『除外枠』を別に設けています。
今でもVOCALOIDで『卑猥な曲』は何曲か作られていますが、それが大事にならないのは、この『除外枠』がある程度の防波堤の役割を果たしているからだと思います。
おそらくこれからの流れは、その手の『第三者の名誉を傷つける楽曲』にまで『除外枠』の中に収めるのかが課題になるのではないかと思われます。

UTAUのランキングでもその『除外枠』を設けることで、ある程度『製作者の暴走』を止めることは可能ではないでしょうか。
もし心配でしたら、まずUTAUの製作者である飴屋Pと、UTAUランキングを管理するUTAUユーザー互助会に質問してみてはいかがでしょうか。たぶんある程度まとまった答えが返ってくるのではないかと思います。

あと重ねてですが今回の記事の件で、不快な表現があったことを重ねてお詫びいたします。

kenchankenchan2009/08/24 16:07相谷さん、ご返事のコメントありがとうございます。

UTAUのデフォルト音源、または自分の声で作った音声であれば、楽器として自由に使えますので、その限りではVOCALOIDの代わりとして自由に使うのは問題ないと思います。
ただ、クリプトン社が初音ミクの中の人の名誉、名声を守る為に使用制限をつけた様に、UTAUに音声を提供して頂いた方に迷惑をかけたくないという思いから、厳しい表現で書いてしまいました。この件についてはお詫びいたします。

あと、問題の対策として、ランキングを『除外枠』の中に収めるという方法がありますが、「のぼり棒」が「名誉の除外作品」と言われて有名になっているように、事実上「番外枠」のような状態になっているので、もう一歩踏み込んで、「一切紹介しない(完全無視)」という対策も必要かもしれません。(実際に実施するには強い反発も予想されて難しいのですが)

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